Homevideo (2011)
★2011.08.25掲載
ホームヴィデオ
監督:
Kilian Riedhof(キリアン・リードホーフ)
出演:
Wotan Wilke Moehring(ヴォタン・
ヴィルケ・メーリンク)、Jonas Nay(ヨナス・ナイ)、
Nicole
Marischka(ニコル・マリシカ)、Sophia
Boehme(ソフィア・ベーメ)、Jannik
Schuemann(ヤニック・シューマン)
、
Tom Wolf(トム・ヴォルフ)、Willi Gerk(ヴィリー・ゲルク)
、Anett Heilfort(アネッテ・ハイフォルト)、
Sabine Timoteo
(サビーネ・ティモテオ)、Hans Werner Meyer(ハンス・ヴェルナー・マイヤー)、
Petra Kelling(ペトラ・ケリンク)、Tarja Loos(タリア・ロース)、Tove Loos(トファ・ロース)、他
このTV映画を観終わって(2011年8月19日初公開)、ずっと考え込んでしまいました。
なので、久しぶりに、ネタバレゴメンでストーリーと自分が感じたことなど書いてみたいと思います。
人を傷つけるようなことを平気でする、それを悪いことと思えない、人を思いやる感情を持たない、命の尊さが分からない、成長できない若者が増えてる。インターネット
上での嫌がらせは顔が見えないためさらに陰湿になってくる。
目に見えるものしか現実として捉えることが出来ず、法的に解決しようとする大人たちに対して、「目は口ほどに物を言う」口数の少ない少年たちの行動は、心理的、精神的な心の奥底までよく見抜いていないと、理解するには難しいかもしれない。
周囲の好意も善意も身内の愛も何もかも、いじめられる少年をさらに精神的に追い込んでしまい、少年は
最悪の結末を迎える。
(Mick)
ギムナジウムに通う15才のヤコブの楽しみは、ビデオカメラ。興味あるものをビデオに収めては、一人で楽しんでいた。ヤコブはまだ幼い妹のアメリーと警察官
の父クラース(ヴォタン・ ヴィルケ・メーリンク)と、母イリナ(ニコル・マリシカ)の4人暮らし。
クラースとイリナはちょっとしたことで口げんかが絶えない。
ある日、イリナは「クラースと別れたい」とアメリーを連れて出て行ってしまう。ヤコブは出て行こうとする母に「だったら、どうしてアメリーを生んだの?」と聞くが、イリナは「計画していなかった、兄弟がいたほうがヤコブの為にいいと思って・・・落ち着いたら迎えに来る」と言って、必要な荷物だけ持って出て行った。
そのあと、ヤコブはアメリーが生まれた時に喜ぶ両親を撮影したビデオを見てため息をつく。
(ヤコブ)
学校の成績は落ち、ヤコブが唯一学校へ行く楽しみはハンナ(ソフィア・ベーメ)に会えること。自分から「好き」と言えないヤコブは、カメラに向かって、「ハンナ、好きだよ!」と告白する。そうこうしているうちに、ハンナの方からヤコブに声をかけてきた。いよいよデートにこぎつけた。
ヤコブは、家でシャワーを浴びた後、いい気持ちになり、オ●ニ●しているところをカメラに収めた。
(ヤコブとハンナ)
ヤコブは同じクラスの不良ヘンリー(ヤニック・シューマン)とその友だちに、前にビデオカメラを貸してくれと言われていたが、どうも乗り気でなかった。
そして、ヘンリーたちはヤコブの家に行くが、ヤコブは留守でちょうど荷物を取りに来ていたイリナに「ヤコブからカメラを貸してもらえることになっている」と言って、ヤコブの部屋からカメラを取ってきてもらう。
それから、二人は、家でカメラをいじっているうちに、「おい、何か映ってるぞ」と、ヤコブの撮ったビデオをすべて見てしまう。
「これやばいよ」とチップを捨てようとする友だちに、ヘンリーは、「言い考えがある。利用しないって手はないよ」とチップを握り締める。翌日、教室で授業中に、ヘンリーがヤコブのまねをする仕草を見て、ヤコブはビデオを見られたと悟り、授業そっちのけで自転車を飛ばして家に戻ると、イリナも丁度来ていた。
ヤコブは隠しておいたカメラがないので、イリナに聞くと、「友達が来たので渡したわよ」「チップは?!チップは取り出さなかったの?」「何?チップって?」「そのまま渡したの?」「そうよ」「ママのバカ、何で勝手に渡したの!?」そう言ってパニックになったヤコブはまた学校に引き返して、ヘンリーに「カメラを返せ!」と言うが、「持ってねぇよ!」と、ヤコブは突き放す。
二人は午後に、ヤコブの家に訪ねてきた。タバコをふかし、冷蔵庫の中からビールを出して飲んで居間でくつろいでいると、クラースが帰ってきた。「何だお前たち?タバコ吸ったのか?ビール飲んで何やってるんだ?ヤコブ友達なのか?」「違うよ」「じゃあ、不法侵入じゃないか、お前たちすぐに出て行け!」と、二人を追い出す。
父は「何でああいう不良たちと付き合うのか?」と、ヤコブを攻める。「貸したカメラのチップを返してくれないんだ」というと父は「それは、盗み取ったと言う事じゃないか」と、勤務中に制服を着たままヘンリーの家に行く。ヘンリーの家は父親がよく家を留守にするらしく、ガウンを羽織った美人の母親がタバコを吸いながら出て来たが、母親は何が起こっているのか全く無関心な様子で、ヘンリーにチップを返すように言い、クラースはチップを取り戻してきた。
ヘンリーはチップの中身をPCにコピーしていて、赤ちゃんを抱いて喜ぶヤコブの両親を見ては頭を抱えて、部屋中うろうろしながら考え込んでいた。
翌日、学校に行くと、皆が携帯を見ながら、ヤコブの方を指差している。ヤコブはすぐに悟った、あのビデオが流出したんだと・・・ヘンリーは罪の意識も感じていない。混乱するヤコブは、「見るのをやめろ!」「見るな!」と見ている少年に殴りかかる。
そして止めに入った先生をも(知らずに)殴ってしまう。ビデオは、ヤコブの名前で、ハンナにも送信されていた。
(ヘンリーとヤコブ)
学校中、いやインターネットでどれだけの人に見られたのか・・・「もう終わりだ」ヤコブは絶望的になり家に戻る。
学校から連絡を受けたクラースが、「何があったんだ?」と聞いてきた。
インターネットに自分のビデが流出したというが、クラースは「誰だって思春期にはするものだよ」と、ヤコブを慰める。「500ユーロでチップを返すって言われてたんだ」と、打ち明けるヤコブに、クラースは「それなら、ゆすりで訴えてやる」と、法的に処置を取る構えでいる。500ユーロ渡していたら、もしかしたらビデオは流出されなかったかもしれない。ヤコブの
うつろな目は何かを訴えているようだった。
(ヤコブと父クラース)
クラースはイリナに相談する為にイリナが居候しているアパートに行き、そこでイリナが女性と同棲していることを知る。
帰ろうするクラースに「ヤコブに何かあったの?」と聞くと、「ヤコブがオ●ニ●している画像がインターネットで広められたんだ、君が渡したカメラの中のチップにそれが入ってたんだよ」と二人でヤコブを探しに行く。
その頃、学校では父母たちが教室に集まってヤコブの件で抗議していた。
街をさまよううヤコブを探し出して家に連れてきた二人。転校すればすべて解決すると思っている。チップを入れたままカメラを貸した無知な母親はそれがどういう事態を引き起こすのかも悟っていない。「ママ、うちに戻ってきて」と頼むヤコブを無言で抱きしめ、ヤコブは母親はもう戻ってこないと悟る。
(母イリナとヤコブ)
学校側は、ヤコブを退学処分を言い渡し、ビデオを流出した犯人はすでにアカウントを削除していて証拠が取れない。
クラースの望む法的処分は不可能な状態にも拘らず、クラースには犯人を捕まえることしか頭にない。
あのビデオを見た人たちから、「お前死ね!」「うせろ、へんたいやろう!」と言ったような、匿名で嫌がらせのメールが来る。だれも、ヤコブの精神的な苦しみを分かってくれる人はいないのだ。
数日後、ヤコブは両親が手続きして探した学校に転校することになった。父と学校に挨拶に行った帰りに、一人の少年とすれ違って「ハイ!」と挨拶し合うヤコブに、クラースは「知り合い?どこで知り合ったの?」と聞く。「バスケットボールの大会で」「よかったじゃないか。知り合いがいるなら、心強い。友達もすぐにできるよ」そうして、振り返ったヤコブをその少年も見ていてた。その目は「オレもあのビデオ見たぜ」と言っているように見えた。車の中から外の日差しを見ているヤコブの目はすべてを物語っていた。もう、どこにも自分の行き場はないのだと・・・。
それは、この世で最後に見る暖かい日差しに感じたのかもしれない。
父親が夕食を作っていると、弁護士から電話が入り、クラースは出かける。ヤコブは内心そばにいて欲しかったのだろうか、しかし「行かないで」と言わない。「戻ってきたら、一緒に食べよう」と言ってクラースは出かける。
ヤコブは、父のピストルを持って、ハンナと初めてのデートの時に来た、大型船の通る河でピストルをくわえるか、怖くて引き金が引けない。丁度また大型船が通りがかり、汽笛を鳴らした。ポーッ!その汽笛を聞いて、何かが吹っ切れたのか、ヤコブは引き金を引く。
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