Das
Leben der Anderen (2006) ★2007.02.27掲載
★2007.07.25追記
ダス・レーベン・デァ・アンダレン
善き人のためのソナタ
The
Lives of Others
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演:マルティナ・ゲデック、ウルリッヒ・ミューエ、セバスティン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクアー、トーマス・ティーメ、
ハンス・ウーヴェ・バオアー、フォルクマー・クライナート、マティアス・ブレナー、チャーリー・ヒュプナー、
ヘルベルト・クナオプ、バスティアン・トロスト、マリー・グルンバー、他
ドイツではDVDは2006年11月16日にリリースされたのですが、2007年2月25日アカデミー賞外国語映画賞を受賞して間もなくドイツのDVD売り上げランキング一位になりました。(2007年2月27日:MICK)
たった今、悲しいニュースが入ってきました。上写真の俳優ウルリッヒ・ミューエ氏ですが・・・胃癌におかされ治療を受けていたのですが、アカデミー賞授賞式に参加し、元気な姿を見せ、インタビューにも答えていました。しかし、残念ながら2007年7月22日、死去されたとのこと。54才でした。ご冥福をお祈りします。(2007年7月25日:MICK)
アカデミー賞外国語映画賞を受賞、この第一級のサスペンスはベルトリッチの『暗殺の森』やコッポラの『カンバセーション・盗聴』のように、カー・チェイスよりも人間ドラマ志向だ。舞台は東ベルリン、時は1984年。すべては単純な調査の任務から始まる。ゲルド・ヴィースラー大尉(抑えていながら深く感情を込めた演技のウルリッヒ・ミューエ)は国家保安省シュタージの一員。この手の仕事のスペシャリストだ。有名な劇作家ゲオルク・ドライマン(セバスチャン・コッホ、『ブラック・ブック』)とその恋人で女優のクリスタ=マリア・ジーラント(マルティナ・ゲデック、『マーサの幸せレシピ』)を監視することになる。ドライマンはブラックリスト入りしている演出家アルベルト・イェルスカ(フォルカー・クライネル)のような反体制派と関わりがあることで知られているが、記録には傷がない。だが、この実直に見える市民を監視する隠れた動機がヘムプフ大臣(トーマス・ティーメ)にあることがわかり、すべては一変する。すなわち、この監視には個人的な理由があったのだ。こうしてヴィースラーの共感の対象は政府から国民へ――少なくともこの一個人へと移行していく。危険は承知の上で、ヴィースラーは特権的な立場を利用しドライマンの人生を変化させる。ここでヴィースラーがおこなう神のような行動は些細で誰にも知られないものかもしれないが、すべてに大きな影響を与えるかもしれない。ヴィースラー自身に対しても。監督・脚本のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクは単純な設定から始めて、複雑な状況と感情的な関わりへと発展させ、見事な長篇第1作を展開させる。3つのエピローグはどう考えても多すぎるが、『善き人のためのソナタ』は全編にわたって気品があり、混乱のない映画だ。ヒューマンドラマの傑作。(Kathleen C. Fennessy, Amazon.com) |